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-座談会-
歯科との連携で治す皮膚疾患
今求められている皮膚科医と歯科医との連携・ネットワーク

◆1. 歯科と皮膚科が連携して治す皮膚疾患にはどのようなものがあるか

松永(司会):本日は歯科からお二人,皮膚科からお一 人の先生をお招きし,「歯科との連携で治す皮膚疾患」 というテーマでお話しいただきたいと思います. 私は大学病院に勤める皮膚科医ですが,掌蹠膿疱症や 扁平苔癬を疑って歯科から紹介される患者さんが多いよ うに思います.歯性感染症と金属アレルギーその他もあ ると思いますが,私自身アレルギーを専門としていますので,金属アレルギーからどういう皮膚疾患があるかを 検討することが多いと思います.先生方はいかがでしょ うか.

押村 進 先生
(おしむら歯 科院長)

押村:私は名古屋市中川区で歯科医院を開業していま す.大学病院の皮膚科の先生からの依頼ということもあ りますが,来院される患者さんで多いのは,やはり接触 皮膚炎と掌蹠膿疱症ですね.近ごろでは,アトピー性皮 膚炎を歯科で治してほしいと言われる患者さんが多く, アトピーと歯科との関係をどう捉えたらいいのか悩んでいます.

服部:私は愛知学院大学歯学部附属病院で,口腔金属ア レルギー外来の科長を勤めております.皮膚科の先生方 からの紹介もかなり多いので,掌蹠膿疱症や金属アレルギーは症例としてはかなり多いです.ただ扁平苔癬に関 しては,口腔外科がメインになって患者さんを担当して いますので,そちらと連携しています.金属アレルギーと関係があった扁平苔癬の患者さんは数例あるのみで, 非常に少ないと思います.

福井:私は押村先生と同じ中川区で皮膚科を開業してい ます.今まで金属アレルギーなどについてはほとんど考 えたことがありませんでした.押村先生が熱心に研究さ れていて,そこに半ば巻き込まれるような形で5年く らい前から金属アレルギーと皮膚疾患の関係を検討する ようになりました.掌蹠膿疱症や汗疱,そういう昔から金属アレルギーが原因のひとつと考えられている疾患は もちろん検討しなければいけないし,アトピー素因も家 族歴もないのに非常に難治性のアトピー性皮膚炎や,あるいは全身に拡がるような難治性の貨幣状湿疹の患者さ んには,念のためパッチテストをやってみる価値はある と,最近では思っています.

服部 正巳 先生
(愛知学院 大学歯学部歯科補綴学第 二講座 教授)

松永:それはアトピー性皮膚炎の典型例からちょっと外 れますか.

福井:私の印象としてはそうでもありません.これから症例が集まってきてわかることで,今の段階ではなんと も言えません. 松永:わかりました.ありがとうございました.

◆2.歯科医から皮膚科医へ紹介状や経過報告書に書いてほしい情報

松永:歯科の先生方は皮膚科から紹介状や経過報告書というのをもらったことがあると思いますが,うまい書き方の紹介状,あるいは反対に困った紹介状や要望につい てお話しいただければと思います.

服部:紹介状をいただいた際,「金属アレルギー」としか書いていないものがありまして,これには困りました.


松永:それは皮膚科医が自分で検査をしていないのでしょうか.

服部:はい.一瞥して「これは金属アレルギーだから」 ということで送ってみえるので困っております.紹介状には,検査をしたかどうかぐらいは書いていただきたい ものです.投薬状況や初診からの経過についても教えてほしいですよね.

松永:基本的なことも書いていない,短いものが多いということですね. 服部:皮膚科の先生にお伺いしたいのですが,症状からすぐ「金属アレルギー」と断定できるものでしょうか. 松永:「金属アレルギーがありそうな疾患」という点で は掌蹠膿疱症と汗疱状湿疹,扁平苔癬,貨幣状湿疹があ げられます.それ以外ですと,口腔違和感や唾液の分泌 異常に金のアレルギーあった例を3例経験していますが,これらは非常に稀ですね. 福井:皮膚科から金属アレルギーとして紹介されるのは どういう患者さんですか.

服部:湿疹が出ていたり,顔全体がただれていると,「これは金属アレルギーだ」ということで,確定診断みたいな形で歯科に依頼されます.

松永:パッチテストや既往歴もしっかり調べないで送るんですね.同じ皮膚科医として恥ずかしいです. 服部:皮膚科の先生方からご依頼いただく際,検査をさ れているのはだいたい2~3割くらいですね.残りは ほとんど検査なしで,「これは金属アレルギーだ」と断 定されています.そうすると口の中に入れた金属が原因 だということで,歯科のほうが悪者になるんですね.と ころが私どもで検査したり,特別な機械で金属溶出量を 測ると,そうではないことが多い.そこで,患者さんに は別の原因を探るということになってくるんですよ.

松永:断定するのではなくて,少なくともどうしてそう 思ったかという検査結果と根拠をきちんと紹介状に書い てほしい,ということですよね.

服部:それに,患者さんの経過も書いてほしいですね. 患者さんは複数の皮膚科に通院していることが多く,た とえば2番目の皮膚科の先生は1番目の先生のことをたぶんお聞きにならないと思うんです.それが4軒5 軒と重なると,まったくわからなくなってしまう.

福井:そういう意味ではきちんと情報を共有して,「ではここの皮膚科でもう一度調べてください」とか,そういうのがわかるようになるといいですね.

松永:そうですね.押村先生の医院ではいかがですか.

押村:服部先生がおっしゃったように,金属アレルギー だと断定されてくる患者さんのなかには,金属が原因ではないことも多くあります.ですから,金属アレルギー だと断定せずに,「とりあえず歯科でも1回レントゲンを撮って口の中をみてもらってください」というふうに 言っていただけると,お互いに連携がとれるんです.


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