
|
概論 「専門的口腔ケアの効果について」
ケン歯科クリニック 歯科医師 吉田 健
食べることは、QOLに直接関係しています。最近、よく言われる食育は、場の雰囲気も大切なことです。口腔・歯の機能は表情、キスなど人間性そのものです。日本人の死因は、肺炎と感染症がほぼ半数ですから、いかに口腔ケアが大切であるかがお分かりになると思います。舌苔というのは、まさにじゅうたんにほこりがのったようなイメージです。脳梗塞発症からおよそ半年間、何も口腔ケアを行わないと口の中は崩壊してしまいます。これを放置することは、天災ではなくまさに人災なのです。愛知県歯科医師会が作製した口腔機能向上パンフレットでは、 お口をきれいにすると ↓ 味がわかる! 口臭がへる! 食欲が出る! 唾液が出る! ↓ 笑顔になる! と説明されています。 さらに、8020運動で言われるように、自分の歯の本数によって噛める食品が変わります。歯を失う原因には、歯周病やむし歯などがあります。従来、歯垢と言われたバイオフィルムは、歯の表面に貼り付いている膜のため、薬剤は効果がないので機械的に取り除くしかありません。ブクブクうがいだけでは取れないわけです。 歯周病が肺炎など全身へも影響しています。静岡県ご開業の米山先生の研究では、口腔ケアを2年間続けた場合、発熱も、肺炎も、死亡者数も減少したという効果が明らかになりました。また私の経験では、認知症の方に対しては、歯磨きペーストはハッカ味よりもブドウ味が好まれたということで、お口を開けてくれたきっかけになりました。総義歯の方でも、もちろん口腔ケアは忘れてはいけません。口腔粘膜や咽頭部もケアしましょう。基本は他人のケアの前にまず自分のケアをしっかりとすることです。 むせる、よだれ、などいわゆる摂食・嚥下障害のある方の場合、不顕性誤嚥の心配があります。飲み込む力でいうと、若い人は喉の食道括約筋が柔軟なので、飲み込む力がほとんどいりません。しかし、高齢者は筋肉が硬く弾力性が乏しいので、窒息のリスクが高くなるわけです。日本でも、年間7000人近い方が窒息でお亡くなりになっています。のどに詰まりやすい食べ物は、日本ではもち、コンニャクですが、アメリカではなんとステーキです。(ステーキハウス症候群といわれています!) 従って、窒息予防のためには、交叉嚥下といって食事1口→水分→食事1口→水分という具合に食事をとりましょう。高齢者の方は、喉ぼとけの位置が下がり、嚥下時間も延長しています。誤嚥性肺炎の予防には、お口の周りの筋トレが必要になってきます。ブレスローの7つの健康習慣だけでなく、さらに毎日歯磨きをする項目を付け加えましょう。 最後になりますが、ホスピタリティー・マインド(己の欲せざることを人に施すことなかれ)を忘れずにしたいですね。 |
|||||||
|
各論 「口腔ケアの様々な疑問について」
えびす歯科クリニック 歯科衛生士 後藤照代
口腔ケアの効果的な方法、用具の選び方、いまさら聞けない口腔ケアでの質問などを含め実際に行っている利用者の方の口腔内写真を見ながらお話をいたしました。 一人一人口腔内の環境も違いその方に適した用具、方法など、又病気によってはすんなり口腔ケアを受け入れれない方への対応、不自由な四肢でも自分で口腔ケアをしようと努力している方の清掃用具と方法などをご紹介しました。 本で見て頭では解っているつもりでも実際に行ってみないと、経験してみないと、疑問質問が出てきません。 素朴な疑問として……
いまさら聞けない口腔ケアの質問・義歯の付け方外し方 ・義歯は歯磨き粉で磨くの? ・洗浄剤の量やどのくらいのペースですればいいの? ・義歯、マウスピースなどの保管時はどうすればいいの? ・汚れとカビの見分け方は? ・口を開けるのを嫌がる、うまくうがいができない 口に水を含んで出されない方への対応は? ・歯茎から血が出たときはどうすればいいの? ・バイオフィルムは目で見えるの? ・歯ブラシを咬んでしまう場合はどのようにすればいいの? ・器具の選び方、使い方は? ・口腔乾燥で痰、唾液、老廃物などがカビカビにくっついている場合の清掃方法や、 使用する用具は? などなど、色々な質問があります。 まだ、多くの疑問質問がありました。 普段何気なく口腔ケアを行っているのですが、あらためて言われると、見てみるとどうすればいいのかと気づくことも多いとおもいます。 そんな疑問をひとつひとつ解決していきましょう。 美味しいものを美味しく食べ、肺炎やその他の感染症を予防し、口臭を軽減し、環境を整え、介護負担を軽減し、摂食嚥下障害のリハビリをし、口腔内のトラブルを回避し、QOLが向上していくよう、口腔ケアに取り組んでいきましょう。 |
|
「アロマテラピー(香り成分の神秘)について」
愛知学院大学歯学部属病院 歯科衛生士 早川純子
芳香植物から抽出される精油(エッセンシャルオイル)を用い治療法をアロマテラピーといいます。精油には何百という芳香成分が含まれており、これらが薬効成分として心と身体に働きかけます。 アロマテラピーを利用するには、精油の抽出方法、精油選びのポイント、精油が体内に入り作用するルート、精油の作用、精油の成分、そして利用法についても知っておいたほうが良いと思われます。だれもが花の香りを嗅いで「いい香り!」と思ったことはあると思います。これも、アロマテラピーのひとつと考えていいのです。私は風邪予防、頭痛、火傷、打撲、筋肉痛、肩こり……いろんな場面でアロマテラピーを実践し効果を実感しています。ですから、あまり難しく考える必要のない身近なところで始めてみてはいかがでしょうか!そして、医療現場、介護現場など皆さんの職場での利用に結びついてゆくことを期待したいと思います。 アロマテラピーは脳細胞、各臓器、器官に作用します(鼻から、皮膚から、口から)。口腔ケアによる口腔環境の改善に伴い、身体状態の向上が可能となります。アンチエイジングにもアロマテラピーと口腔ケアの相乗効果が、より一層の働きかけをすると結果を出している歯科医師もいらっしゃいます。この機会に、是非アロマテラピーにも興味をもっていただければと思います。 |
