おしむら歯科
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歯科との連携で治療していく皮膚疾患

5.病巣感染に対してのASK検査データと扁桃摘出等の効果

1)病巣感染に対してのASK検査データ

表は、私どもの歯科医院に来院され皮膚科・アレルギー内科などで掌蹠膿疱症と診断された患者のASK(抗ストレプトキナーゼ)のデータである。(ASK検査とは溶連菌A、C群が産生する蛋白質に対する抗体。溶血性連鎖球菌感染症の診断に用いられる。高い値を示す病態にはA群またはC群溶血性連鎖球菌感染症〔猩紅熱、扁桃腺炎、中耳炎、急性咽頭炎、リウマチ熱、急性糸球体腎炎、血管性紫斑病〕等 がある。) 表の内容から、ASKデータは歯性病巣感染のデータとしては一部を除いてあまり関連がなさそうである。また、ASKデータが正常範囲内でも病巣扁桃・歯性病巣感染はある。ただスクリーニング検査的に行う価値はあると思っている。

ASK 2560 1名
ASK 1280 3名
ASK 640 6名
ASK 320 5名
ASK 160 4名
ASK 80 7名

2)扁桃摘出および歯科治療について

表は、私どもの歯科医院に来院された掌蹠膿疱症 (PPP)の患者26名についての扁桃摘出および歯科治療についての集計データである。表のデータから、皮膚科と耳鼻科・歯科とのより一層の連携の必要性が読み取れる。また手術侵襲の関係等から、耳鼻科での扁桃摘出の前に歯科治療を選択される患者も多くいる。実際、皮膚科で扁桃の摘出手術を勧められたが、歯科的な病巣除去で掌蹠膿疱症の軽減が見られた患者が26名中9名いたことは、歯科的関与の必要性が強く考えられると思われる。

扁桃摘出後・掌蹠膿疱症症状軽減をみないで歯科受診 3名
皮膚科にて扁桃腺摘出を勧告 扁桃腺摘出予定の患者 5名
歯科治療で症状軽減 扁桃摘出は様子みる 9名
扁桃摘出・皮膚科で勧める......摘出未定 4名
その他 5名

6.まとめと考察

 色々な皮膚疾患を有している患者で皮膚科的な治療のみでは良くならず、歯科医院などに来院される患者も増えている(金属アレルギーの患者への対応は本誌2007年11月号で松村光明東京医科歯科大学歯学部臨床 教授《金属アレルギー外来》が「金属アレルギーの治療の流れとメタルフリー修復の現状」にて詳細に述べられているのでそちらを是非ご参照いただきたい)。 このような患者への対応として歯科医院サイドでは、皮膚科へのパッチテスト、皮膚科的な診断・病名をつけていただく確定診断のお願い,病巣感染が関与する疾患かどうかの連携、などをしていく。 金属アレルギーだけでなく歯科的な病巣の検索・関与の有無・歯科的な褥創等に対しての対応等,皮膚科との連携はこれからますます増えてくる。 そのためには、以下のような点が重要になるであろう。

  1. 皮膚科と歯科との患者を中心とした連携体制の確立
  2. 2皮膚科等、他科の医師にも口腔内の状況が分かりやすい情報提供を行い情報の共有をして治療に当たる。私どもの歯科医院では現在,プラネット社 のデンタルX を利用して口腔内の状況・病巣・ 使用金属の種類・部位等をグラフィック化して皮 膚科等への紹介状に添付している。大変分かりや すいと他科の医師にも喜ばれている(図12、図 13)。
  3. 病巣感染が疑われる皮膚疾患の患者が皮膚科に来院された場合には、耳鼻咽喉科・歯科などでの病巣検索をルーチン化すること(金属アレルギーの関与・歯性の病巣が原因と疑われる場合は必ず皮膚科よりの歯科受診依頼・歯科的原因の検索および皮膚科医師への報告)。
  4. パッチテスト基準(歯科金属などの遅延性のアレルギーなどは1週間後の判定を必ずしていただく)の明確化。
  5. 皮膚科・歯科・耳鼻咽喉科などのネットワーク作り。
  6. 在宅患者・入院患者の口腔内の状況・特に重症疾 患で寝たきりとか意識のない患者に対しての口腔 内の褥創等の連携。
  7. 類天庖瘡などの患者に対しての歯肉粘膜等の水泡性疾患・ニコルスキー反応などによる歯肉粘膜の剥離部の歯科的な清掃等も皮膚科との連携として必要である。 最後に、貴重な症例をご提供いただき、皮膚科との 連携についてご指導いただきました藤田保健衛生大学皮科学講座・松永佳世子教授(日本接触皮膚炎学会理事長)および馬庭重位皮膚科医師に感謝いたします。

参考文献

  1. 形浦昭克:扁桃病巣感染症-発症機序の解明と臨床への応用 第87回日耳鼻総会宿題報告モノグラフ、1986.
  2. 神野 卓:なぜ今、歯性病巣感染かー歯性病巣感染と皮膚疾患ー 日本歯科医師会雑誌、53(6):27〜33、2000.
  3. 中山秀夫、井上昌幸、松村光明:GPのための金属アレルギー入門臨床 デンタルダイヤモンド社、2003.
  4. 松村光明:金属アレルギーの治療の流れとメタルフリー修復の現状 日本歯科医師会雑誌、60(8):6〜19、2007. 5)押村 進、松永佳世子、服部正巳ほか:歯科との連携で治す皮膚疾患 Visual Dermatology、5(11)、秀潤社、2006.図13 図12、図13 口腔内の状況・病巣・使用金属の種類・部位等をグラフィック化して皮膚科等への紹介状に 添付している
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