おしむら歯科
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歯科との連携で治療していく皮膚疾患

4.実際の症例

<症例1>
  治療に苦慮した小児膿疱性乾癬
 (藤田保健衛生大学・皮膚科学教室・症例)

 (写真1〜5)症例は4歳男児。当初39℃の発熱あり、2日後より全身に皮疹出現。近医にて抗菌薬内服、ステロイド剤外用試みるも改善せず、藤田保健衛生大学・皮膚科に受診。全身に小膿疱伴う紅斑あり、入院となった。入院後、シクロスポリン、クラリスロマイシン、オキサトミド、酒石酸アリメマジンの内服、吉草酸ジフルコルトロン軟膏の外用にて治療を開始したところ、一時的に皮疹は改善傾向を示し、また炎症反応も正常範囲となった。
 しかし、その後、特に誘因なく皮疹が増悪し白血球、CRP値も再び上昇したため、プレドニゾロンの内服を併用したが、著明な改善は見られなかった。そこで、病巣感染の可能性を考え、検索した所、耳鼻科 的にはとくに異常はなく、左上顎第二乳臼歯にC3程度のう蝕が存在した。歯科口腔外科での歯科治療(歯 内療法)開始より約2週後、皮疹は改善し始め、約20日後の歯科治療終了時には皮疹はほぼ消失した。

◆本症例のポイント

 歯性病巣感染に続発する皮膚疾患としては掌蹠膿疱 症が66.7%と最も多く、次いで慢性蕁麻疹が16.7%、 尋常性乾癬が10.3%を占めている。本症例のように治療に抵抗性で寛解・増悪を繰り返す皮疹が継続する場合、病巣感染を考え、歯科口腔外科的検索、耳鼻科的検索が必要である。

◆鑑別診断:アトピー性皮膚炎

 カポジ水痘様発疹症病理組織学的所見にて弱拡大像では表皮の肥厚、表皮突起の不規則な延長と痂皮を認め、強拡大像では真皮浅層にリンパ球と好中球の浸潤を認めた。また、表皮内への好中球浸潤も存在しており、Kogoj(コゴイ)の海綿状膿疱を認めた。これらの臨床症状と病理所見により、膿疱性乾癬と診断した。この小児の症例は皮膚科の医師の方々から歯科との連携の必要性を強く感じた症例だと言われた。

症例1写真 治療前
症例1写真 治療後

<症例2>
 歯科金属アレルギーによる掌蹠膿疱症を 疑って来院されたケース-その1
 (歯性病巣の除去療法で掌蹠膿疱症が完治した症例)

◎患者 女性 55歳

(写真6)は初診時の足の裏の状況である(当初・初診時あまり歩けない状況であった)。 (写真7)は初診時の口腔のパノラマエックス線写真。多数の根尖病巣が認められる(この状況はどの歯科医院でも診断可能ですと皮膚科医師には伝えている)。 口腔内多数の歯牙に重度の歯牙カリエスが認められる(本文図1)。 (写真8)は初診時の血液検査データである (依頼した名古屋市中川区・福井皮膚科にて)。ASK値が正常範囲内だが、1280と高い値を示している。中川区福井皮膚科に依頼したパッチテストの結果、 亜鉛にパッチテスト試薬の刺激と思われる反応があった以外はすべて陰性と皮膚科より報告があった。歯科金属のパッチテストは必ず1週間後の判定が大切である。

症例2写真 アレルギー検査

 上記の状況より、歯性病巣感染による掌蹠膿疱症と診断し、歯科治療を行っていく。 図2は、歯性病巣感染を起こしていると思われる歯牙抜歯後1週間後の足の裏の状態である。かなり良くなってきている。 (写真9)は歯科治療終了後のパノラマエックス線写真である。(写真10)は歯科治療終了時の足の裏の状況である。ほぼ完治している。皮膚科的な治療はほとんどしていない。(写真11)は歯科治療終了時の血液検査データである(特にASK値が40とかなり下がっている)。

症例2写真 皮膚疾患改善の様子

(写真12)は歯科治療一段落時の口腔内である。保険の金銀パラジウム合金使用、保険治療内治療の根管治療・抜歯、冠・義歯などを行っている。こういった金属アレルギーや歯性病巣感染を疑う症例の歯科治療については、自費でかなり費用がかかると誤解されている患者も多い。(写真13)は術後の口腔内歯科金属のDMA検査(金属イオン溶出検査)を行っている様子。必ずDMA検査は行っている。

症例2写真 治療の様子

症例2写真 アレルギー改善の様子

<症例3>
 歯科金属アレルギーによる掌蹠膿疱症を疑って来院された症例-その2
 (歯性病巣の除去で掌蹠膿疱症は多少良くなったが完治せず。耳鼻科での扁桃腺摘出により掌蹠膿疱症が完治した症例)

図3-Aは初診時の足の裏の皮膚の状況である。図 3-Bは初診時のパノラマエックス線写真で、明らかな歯性病巣等は認められなかった。 この状況で皮膚科に確定診断を依頼する(藤田保健衛生大学報徳會坂文種病院皮膚科鶴田医師に依頼)。 掌蹠膿疱症の確定診断ののち、皮膚科との連携治療を開始する。 図4は皮膚科での投薬(軟膏主体)と歯科的・歯周 治療等の開始後の足の裏の状況であるが、多少改善するも完治にはいたらなかった。 歯科治療が終了しても皮膚疾患は改善はしたが、完治には至らなかったので、患者と相談の上耳鼻科にて扁桃摘出術を入院して行った(藤田保健衛生大学報徳會坂文種病院皮膚科より同病院耳鼻科に扁桃摘出依頼)。図5は術後20日目の足の裏(掌蹠膿疱症は完治している)。 この症例では病巣扁桃が関与していたと思われる (ただし、患者ご本人が自覚されるような扁桃の症状はなかった)。

症例3写真 症状改善の様子

<症例4>
筋萎縮性側策硬化症(ALS)の患者の口腔褥創潰瘍に対しての訪問歯科的対応

この症例は、近隣の総合病院より依頼された筋萎縮性側策硬化症(ALS)の患者の口腔褥創潰瘍に対しての訪問歯科的対応である(名古屋共立病院に入院されていた症例)。 同患者は気管切開、人工呼吸されている。上顎の歯牙の鋭縁・切端などで無意識下に下顎歯肉粘膜を傷つけ重篤な褥創性潰瘍を作っていた(図6、図7)。 歯牙の鋭縁を丸め無意識で上顎歯牙の切縁で下顎口腔粘膜を傷つけないようにマウスガード様の保護シーネを装着した。図8、図9は保護シーネを装着して病室での口腔ケアの様子である。 図10は保護シーネ装着1ヵ月後の口腔内の褥創性潰 瘍の状況である。ほぼ治癒傾向にある。さらに図11は保護シーネ装着後2ヵ月目の口腔内の状況。褥創性潰瘍は完治している。

症例4写真 症状改善の様子

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