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服部:「歯科で金属を外してもらってこい」と言われる 患者さんも稀にいますよね.

松永・福井:信じられない.......

押村:それに,アマルガムはいけないものだと言っている皮膚科の先生もいるし,銀色に光るものをすべてニッ ケル・クロムだと言われる先生がいて,これも困ります ね.患者さんがそうだと思い込んでしまうんですよね. 餅は餅屋だから,そのあたりのことは私たち歯科医に任 せてくださるとありがたいです.

福井:もちろんそうですね.

福井 良昌 先生
(福井皮フ 科 院長)

押村:また,診断名に「主婦湿疹」のような曖昧な病名 が多く,困ってます.確定診断はむずかしいにしても, もう少し教科書に書いてあるような病名を,「疑い」でもいいですから言っていただけると,こちらも対処の方 法があるのですが....... あと思うのは,私たち歯科医はあくまでも側面的な治 療をするので,その後の経過も,ぜひ教えてほしいので す.たとえば1回紹介して返信状を書いたらそれでおしまいではなくて,たとえば2カ月待って,「こういう 状態になってきました」とか,「先生のところで金属を 外してよくなりました」とか,「変わらないのでこう進 めていきますか?」ということを教えていただくと,患 者さんには一番いいんじゃないかと思います.

服部:私のところでは,自分が診察した患者さんは,もとの皮膚科や歯科の先生のところに帰っても,経過を報 告してもらうために,1~2カ月後に必ず予約して,き ていただくんですよ.

◆3.皮膚科医から歯科医へ紹介状や経過報告書に書いてほしい情報

松永:今度は逆に皮膚科医から歯科医に要望はあります でしょうか.

福井:この患者さんは治療を皮膚科でしてほしいのかど うかということを知りたいですね.先ほど服部先生から多くの皮膚科を渡り歩いた患者さんの話がありました. 歯科では通院歴がわからないから教えてほしいとおっしゃいましたが,そういう人は前医のことを,皮膚科に 来るともっと言わないんです.他科へのほうがまだ言いやすいと思うんです.ですから受診歴と,皮膚科での治療を望んでいるのか,それとも検査だけなのかということが,もしわかれば,書いていただくとありがたいですね.

松永:歯科の先生から皮膚科に対して紹介状が来るというのは,患者さん自身が能動的に歯科を受診されたとい うことですか.

福井:普通では考えられないことですけど,今,皮疹の 治療のために,まず歯科に行かれる患者さんがいるんです.

押村:そうです.先に皮膚科に行ったほうがいいよ,と 言っているんですけどね.

松永:これはおそらく,インターネットや口コミで情報が拡がっているんですよね.普通の地域で行う commonな診療とは別のルートですね.

福井:もうひとつ,私が皮膚科医として紹介状でほしい情報といいますと,その患者さんが皮疹の治療目的でま ず歯科に行ったのか,歯の治療をしている途中で皮疹に気がついたのか,皮疹の疑いがあって皮膚科へ紹介状を持ってきたのか,それが知りたいですね.それからさっき言ったように,前医のことがわかればなおいいです. それで比較的コミュニケーションがとりやすくなりますね.

松永:私の勤めている藤田保健衛生大学では,たいてい紹介状を持って来られるか,どこかで治らないから来ら れるのが多いですね.医療に対して文句,不満がある方 が来られることも多いので,自分としてはここに来られ た受診動機,どういうことを期待して私の前に今いらっしゃるのかということは,いつも充分聞くし,それから どこにかかっていたかというのも比較的聞きやすい施設 だと思うんですね. 皮膚の状態を治してほしいと思っている患者さんもいれば,「パッチテストだけやってほしい,アトピーは治 さなくていい!」と,そういう患者さんもいます.でも そうはいっても皮膚科がちゃんと治すべきだよ,という基本姿勢が皮膚科医にはいると思っています.

福井:あと,これはできればでよいのですが,患者さんの歯にどういう金属が入っているかを知りたいですね. 押村先生の紹介状にはそういう情報がすべて入っているからいいのですが(図a~h),そういう先生ばかりではないですし.それから金属溶出傾向がわかれば,参考になります.今まで金属のイオン化や溶出傾向について, 詳しくは知りませんでしたが,松永先生の論文 *などを読むと,金属溶出傾向のデータが非常に大事だというこ とがわかりました.( *松永佳世子: 金属によるアレル ギー性接触皮膚炎, Topics in Atopy Vol. 5, No.1, 2006 年など.)

服部:金属溶出傾向とアレルギーの関係については全然 信じてない先生方も多いですね.

松永 佳世子 先生
(藤田保 健衛生大学医学部皮膚科 教授)

福井:金属溶出傾向とパッチテストの結果に関するデー タはありますか.

押村:溶出傾向とパッチテストのデータと症状との相関性については,現在検討しているところですよね. 松永:症状と溶出傾向の関係を証明するのも必要なのですが,溶出量が多い人たちにパッチテスト陽性頻度が高 いという証明も必要なんです.逆に,溶出量の低い人に は陽性が少ないというデータもいるわけですが.




歯科から皮膚科へ紹介する際の紹介状の1例(a〜f)(g,hはp.1134参照)
(提供:おしむら歯科 押村 進 先生)


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