私も還暦を迎えました。写真は祝賀会の1コマです。 教授に就任し11年の歳月が流れ、現在は副院長,臨床研修センター長,医学部教務副委員長も兼務して、教室外の仕事も増えました。4月に日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会理事長職も古川福実教授にバトンタッチしました。いまは学術教育委員長として活動しています。さて、2006年11月号で「歯科との連携で治す皮膚疾患」を編集させていただきました。5年前に課題であった歯科と皮膚科の連携はすすんだのでしょうか。昨年3月に「歯科と皮膚科連携ワークショップ」を開催しました。詳しくは伊藤明子先生が本文で紹介します (p.1201)。皮膚科医,歯科医が主体の参加者51名のなかで、歯科と皮膚科の連携が必要と感じているのは7割でしたが、密に連携がとれていると感じているのはわずか7%でした。つまり、まだまだ、十分な連携はとれていないのが実状のようです。 皮膚科の問題は、金属のパッチテストをきちんとできる施設が少なく、歯科医が紹介先に困っているという現 状です。日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会の会員でもパッチテストをよく行っているが3割に過ぎず、できない理由に「手間がかかる」「アレルゲンの入手が困難」があげられています。金属パッチテストは鳥居薬品から市販されていますが、試料そのものの刺激性や再現性に問題を残し、刺激とアレルギーの反応の差の教育などが十分なされていない問題点があります。歯科の問題は、歯性感染症や歯科金属アレルギーが皮膚疾患と関連していることの理解に差があることです。 |
地道な連携の輪を作っていく第一歩として、この「最新・歯科との連携で治す皮膚疾患」をあらたに企画しました。総説として、皮膚科からは「歯科と関連する皮膚疾患」、「パッチテストの理論と実際」、歯科からは「歯性感染症とその治療」、「歯科金属アレルギーの対応」、「歯科金属アレルギーの対応」、「歯科金属からのイオン溶出と測定」、「金属アレルギーに配慮した歯科用補綴材料の選択と問題点」を分かりやすく図示し解説いただきました。そして、ワークショップからの提案として、歯科から皮膚科へ、皮膚科から歯科への紹介状のテンプレートを掲載しました。 各論としては、皮膚科と歯科が連携して治療した具体例を15例掲載いたしました。case 14の松坂先生の例は扁平疣贅の臨床像と思いますが、歯科治療がきっかけで皮疹が消褪した例として、呈示していただきました。実にさまざまな皮膚疾患や病態が歯科の治療と関連しています。まだまだ、多数の疾患があると思いますが、この特集を契機に、一歩ずつ、両科の連携が深まり、良き医療が提供できる医療集団になることを夢見ています。 なお、顔と顔が見える歯科と皮膚科の連携ワークショップは、今後も日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会の学術教育委員会の仕事の一環として継続して行きますので、ご希望の地域の先生はご連絡ください。 ![]() 秋深まる 豊明市より |
| 学研秀潤社 ヴィジュアルダーマトロジー 10/11 2011年11月号 ![]() 目次 Part1. 講義 総説 01 歯科と関連する皮膚疾患 高橋 愼一 総説 02 パッチテストの理論と実際 矢上 晶子,松永 佳世子 総説 03 歯性の病巣感染と皮膚疾患 (皮膚科と歯科との医療連携をふまえて) 押村 進,押村 侑希,押村 憲昭 総説 04 歯科金属アレルギーの対応 服部 正巳 総説 05 歯科金属からのイオン溶出と測定 池戸 泉美 総説 06 金属アレルギーに配慮した歯科用補綴材料の選択とその問題点 三品 富康 |
Part2. 症例編 case 01 掌蹠膿疱症─歯性病巣の検索から始まる治療計画の策定─ 小林 里実,片岡 利之,岡本 俊宏 case 02 歯科治療後に扁桃摘出術を施行し完治した掌蹠膿疱症の1例 山北 高志,押村 進,松永 佳世子 case 03 歯科金属アレルギーが原因と考えられた異汗性湿疹 西澤 綾,片岡 いづみ,佐藤 貴浩 case 04 口腔内アマルガムに対する全身型金属アレルギーが 原因と考えられた貨幣状湿疹 足立 厚子 case 05 歯科金属除去にて軽快した口腔粘膜扁平苔癬 西澤 綾,佐藤 昌,佐藤 貴浩 case 06 金属除去療法が奏効した口腔扁平苔癬 海老原 全,松村 光明 case 07 歯科治療が奏効した肉芽腫性口唇炎 佐々木 良輔,鈴木 加余子,林 哲平,稲坂 博,松永 佳世子 case 08 肉芽腫性口唇炎の1例 江野澤 佳代,福井 暁子,大橋 則夫 case 09 アトピー性皮膚炎─歯科と連携して治療した例─ 井川 健 case 10 アナフィラクトイド紫斑 ─歯科治療に伴い紫斑の再燃がみられた症例─ 関 玲子,篠塚 修,佐藤 貴浩 case 11 歯根管治療剤に含まれる ホルムアルデヒドによる即時型アレルギー 木嶋 晶子,片岡 葉子 case 12 歯科従事者の手荒れ ─手袋を透過するメタクリルレジンアレルギー─ 生野 麻美子 case 13 歯科治療中にみられたラテックスアレルギー 伊藤 正樹,福田 理 case 14 根尖病巣治療に使用された材料を 除去することによって皮膚病変が改善した1例 松坂 賢一 case 15 歯科治療でのアマルガム置換により手湿疹が改善した1例 押村 侑希,押村 進,鶴田 京子 Part3. テンプレート 総説 07 歯科と皮膚科の連携に必須の紹介状テンプレート ─ワークショップからの提案 伊藤 明子 Dermatological View 金属アレルギーの免疫学 Up-to-date 川野 光子,小笠原 康悦 |
